こんにちは、アスレティックトレーナーの黒澤です。 先週は、米女子ゴルフツアーフィールズオープンがハワイ州コオリナGCで行われました。
日本から上田桃子選手や宮里藍選手などプロ、アマ合わせて9名の選手が参加しました。
初日に古閑美保選手が5位と絶好のポジションにつけましたが、2日目からスコアを伸ばすことが出来ず3日間のトータル47位、日本人の最上位は佐伯三貴選手の15位という結果でした。
今回も期待された上田桃子選手は、最終日果敢に攻めて17番までに7バーディー、2ボギーと5つスコアを伸ばしましたが、迎えた18番ホールの第2打を池に入れ、その瞬間それまで張り詰めていた緊張が一瞬にして切れ、このホールトリプルボギーとして25位で大会を終えました。
あれだけ先週まで安定していたゴルフが、この18番では自分を見失ってしまった状態となり、コースマネジメントと精神集中の難しさをまざまざと見るかたちとなりました。 是非立て直して、次の試合では新たな気持ちで頑張ってほしいものです。
このようにプロゴルファーでも試合中に精神の集中が途切れ、自分をコントロールできない状態に陥ることがありますが、皆さんはゴルフのプレー中に自分をコントロールできなくなったことがありませんか?(え、いつもですか!?)
スポーツの世界では、精神の集中が極限に達した時、手足がしびれ、全身の硬直や震えが起こり、自分のからだを思うように動かすことができず、ミスばかりを誘発する状態を『イップス(Yips)』と表現しています。
イップスの語源は、yipから「子犬が吠える」という意味のようで、プロゴルファーのトミー・アーマーがはじめてこの言葉を使って心理状態を表したと言われています。
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アドレス時手が震えだし、ボールを打つことができない |
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からだが硬直してクラブを振ることができない |
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パター時に、極端なチョロやオーバー等普段では考えにくいショットを打つ |
などいろいろとプレーに支障をきたすことが多いようです。
ツアー競技の中で有名なのが、1988年日本オープンのジャンボ尾崎選手の最終18番でのウイニングパットです。これも“イップス”を感じた瞬間ではないでしょうか? 残り1mのパットに手のしびれを感じ、2度仕切り直しをして、3度目に打ったボールがカップに吸い込まれた時、一瞬のイップスを克服した感じがしました。 ジャンボ尾崎選手は、その後も優勝回数を増やし、現在も活躍されていますが、あれほどの選手でも重圧を感じるゴルフは、本当にメンタルが重要なスポーツだと言えるでしょう。
その“イップス”を克服するには、どうすればよいのか? という質問を受けることがありますが、残念ながら良い治療法がないのが現状です。 しかし、普段から次のことを試してみて下さい。
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ゴルフのプレー前にウォーミングアップ(第16回「ウォーミングアップの実際」参照)を行って下さい。血行を良くすることでからだがリラックスすると思います。 |
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アドレス前に手首、足首、肩、腰を回して下さい。 またゆっくりと練習スイングも行いましょう。 |
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良い結果をはじめから考えてはだめです。 結果は後からついてくるものです。気楽に考えましょう。 |
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他の人のプレーと比較するのではなく、現状の自分のプレーに自身を持つことです。 |
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毎回課題を見つけては、練習で課題をクリアしてみて下さい。 それによって自分のプレーに少しずつ自信を持つことができます。 |
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最も重要なことは、プレーを楽しむことです。 普段から仲の良い仲間とラウンドすることもお勧めします。 |
「さぁ、これからゴルフだ、今日は楽しくラウンドするぞ!」という気持ちで、気楽にプレーに臨みましょう。 |